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GHS・SDS・法規制ニュース
GHS分類、SDS作成、化学品管理に関連した各国の法規制情報をご提供いたします。
国連
国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer, IARC)は、アスパラテームの発がん性評価について、IARCモノグラフを公表した。また、今後、メチルオイゲノール、オイゲノールについても評価結果を公表する予定である。
- アスパラテーム
- 用途 : アスパルテームは、甘味料として、種々の食品、飲料に使用されており、さらに、薬品、化粧品、タバコなど、多くの消費者製品にも使用されている。アスパルテームの85 %~90 %が飲料用甘味料として、主にダイエット炭酸飲料に使用されている。チューインガムや卓上甘味料はそれぞれ5 %を占めている。アスパルテームには風味を増強する特性もあり、特に酸性の果物の風味に対して顕著である。世界中で約6,000種類の製品にアスパルテームが使用されていると推定される。
- ヒトの疫学調査 : アスパルテームおよび人工甘味料入り飲料の摂取と発がん性との関連について、IARCは25種類の疫学調査を解析している。多くの調査ではアスパラテーム等の人工甘味料に関するばく露情報が不十分としているが、3つの有益なコホート研究(欧州、米国)において、肝臓がんの発生とアスパラテーム/人口甘味料の間に関連性が認められ、人工甘味料入り飲料の摂取量により、肝細胞がんの発症率が増加するとしている。一方で、既知の肝発がん物質に対するばく露の可能性も指摘されている。その他にも、乳がん、リンパ腫、膵臓がんとの関連が示唆されているが、十分な情報や一貫性がないため、因果関係の有無について結論を下すことはできないとしている。
- 動物実験 : マウスとラットにおいて、良性/悪性腫瘍の発生が報告されている。マウスでは、アスパルテームは、周産期および出生後に経口投与(混餌)すると、雄では肝細胞がん、肝細胞腺腫、肺の細気管支腺がん、細気管支腺腫、リンパ芽球性白血病、単球性白血病、骨髄性腫瘍の発生率の増加が認められ、雌では、リンパ芽球性白血病が発生した。ラットの経口投与(混餌)では、雌雄で腎臓腎盂および尿管の上皮がん、雌で乳腺がんが発生した。雄では、単球性白血病、組織球肉腫、骨髄性腫瘍の増加傾向が認められた。ラットの周産期および出生後に経口投与(飼料)された雄ラットで悪性神経鞘腫、雌ラットでは乳腺がんおよび腎盂の乳頭腫が発生した。
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これらの結果に基づいて、IARCはアスパラテームを、グループ2B(possibly carcinogenic to humans)に分類している。
参考資料
- Aspartame, Methyleugenol, and Isoeugenol、IARC Monographs on the Identification of Carcinogenic Hazards to Humans Volume 134 https://publications.iarc.who.int/627
米国
米国環境保護庁(EPA)は、N-メチルピロリドン(NMP)ばく露に対する作業者や消費者の健康保護のための有害物質規制法(TSCA)における規則案を発表した。
- 用途
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NMPは溶剤として、電子機器、ポリマー、農薬および石油化学製品の製造に広く使用されている。具体的には、半導体やマグネットワイヤなどの特殊な電子機器の製造、航空機や電子機器に使用されるリチウムイオン電池の製造、接着剤やシーラント、塗料やコーティング剤、塗料剥離剤、潤滑剤、自動車ケア製品、脱脂剤、清掃用品、家具ケア製品などで、さまざまな用途がある。
- ヒト健康影響
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慢性的なばく露による生殖器系への影響として、男性の生殖能力の低下、女性の受胎能力の低下、胎児体重の低下など知られており、また、肝臓、腎臓、免疫系、神経系の障害が懸念される。。
- 規制案
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- 消費者: 接着剤やシーラントからのNMPばく露を軽減するために、EPAはNMPの濃度を45%以下に制限し、他の消費者製品に対しては、容器サイズの制限、ラベル表示などの使用時のリスク防止対策を提案している。
- 作業者: EPAは、ほぼすべての産業・商業用途において作業場化学物質保護プログラム(workplace chemical protection program、WCPP)を要求しており、作業者がNMPとの直接接触しないよう皮膚接触を防ぐ要件が含まれている。例えば、半導体やリチウムイオン電池製造部門における作業の機械化、閉鎖・自動化ツール、クリーンルーム等である。また、多くの用途(塗料、接着剤、インク、コーティング剤、はんだ材料の使用など)については、濃度の制限や個人用保護具の使用を含む職場管理を要求している。 さらに、安全性が担保できないと考えられる用途として、自動車ケア製品、清掃・脱脂製品、金属製品、家具ケア製品、アンチフリーズ・除氷製品、潤滑剤、肥料や農薬製造プロセス等において禁止されている。
参考資料
- EPA Proposes Requirements to Protect Workers and Consumers from Exposure to Toxic Solvent N-Methylpyrrolidone https://www.epa.gov/newsreleases/epa-proposes-requirements-protect-workers-and-consumers-exposure-toxic-solvent-n
- PROPOSED RULE、Regulation under the Toxic Substances Control Act: n-Methylpyrrolidone https://www.regulations.gov/document/EPA-HQ-OPPT-2020-0744-0015
米国食品医薬品庁(FDA)は、ペルフルオロ及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)を含む耐油剤を用いた食品包装や板紙包装の販売を、製造業者が自主的に停止したことを公表した。
FDAは2020年に、上市後の安全性評価に基づいて、特定の種類のPFASを含む耐油剤(grease-proofing agents)注)の食品包装等の食品接触用途について、製造業者から米国での販売停止に関するコミットメントを得ていた。
今回の発表は、これらの自主的なコミットメントを達成したことを示している。また、FDAは、異なる種類のPFASについても食品接触用途での販売を停止したことを確認したと述べている。
これらの食品接触用途について、最終販売日から市場供給分を消耗するまで約18ヶ月かかる可能性があるが、多くの製造業者は停止期限日よりも前に市場から撤退している。今後、FDAは、食品包装におけるPFASの使用を監視するための分析方法を開発する予定である。
注)耐油剤(grease-proofing agents)は、紙や紙板包装に塗布され、グリースや油の漏れを防ぎ、耐水性を持たせるために使用されている。PFASを含む物質は、ファストフードの包装紙、電子レンジ用ポップコーン袋、テイクアウト用紙製容器、ペットフード袋に使用されていた。
参考資料
- FDA Announces PFAS Used in Grease-Proofing Agents for Food Packaging No Longer Being Sold in the U.S. https://www.fda.gov/food/cfsan-constituent-updates/fda-announces-pfas-used-grease-proofing-agents-food-packaging-no-longer-being-sold-us
- FDA, Industry Actions End Sales of PFAS Used in US Food Packaging https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-industry-actions-end-sales-pfas-used-us-food-packaging
カナダ
カナダの環境・保健省は、N-メチルピロリドン等の2物質について、ヒト健康影響が懸念されることから、カナダ環境保護法(CEPA)の有害物質リスト(スケジュール1)に収載することを提案している。
- 対象物質
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- N-メチルピロリドン(CAS RN 872-50-4、N-methylpyrrolidone、NMP)
- N-エチルピロリドン(CAS RN 2687-91-4、N-ethylpyrrolidone、NEP)
いずれも自然界には存在しない人工的な化学物質である。電気・電子製品、金属製品、鉱業製品、紙製品、プラスチック・ゴム材料の製造等に広く用いられており、接着剤やシーリング材、自動車用内装クリーナー、清掃・脱脂製品、塗料・コーティング、ペイントリムーバー等に含まれている。また、NMPは、パーソナルケア製品、ネイルケア、まつ毛接着剤や接着剤除去剤、ヘア製品にも含まれ、害虫駆除製品の成分としても使用されている。
NEPは、化学品の製造、接着剤やシーリング材、塗料・コーティング、プラスチック・ゴム材料の製造に使用されている。
- 有害性について
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NMPの消費者へのばく露は、接着剤、パーソナルケア製品等の消費者向け製品の使用によるもので、経皮ばく露、吸入ばく露の可能性が考えられる。NEPに関しては、消費者製品に含まれないため、ばく露される懸念は低いと考えられる。
NMPの吸入ばく露については、ラットの生殖試験における着床率の低下から、無毒性量は437mg/L(吸入ばく露、ヒト換算値)と推定されている。また、経皮ばく露については、ラットの繁殖性試験において、雄の生殖能への影響が認められたことから、無毒性量は6.5mg/kg体重/日(ヒト換算値)と推定されている。一方、ヒトのばく露量については、甲板工事用接着剤では18.63mg/L(吸入)、自動車内装クリーナーでは0.26mg/L(吸入)、リンスでは0.03mg/kg体重/日(経皮)、まつ毛用接着剤では0.02mg/kg体重/日(経皮)と推定される。一部の製品では吸入ばく露量が多いことから、安全性が担保できないと判断されている。
参考資料
- Canada Gazette, Part I, Volume 158, Number 4: GOVERNMENT NOTICES https://gazette.gc.ca/rp-pr/p1/2024/2024-01-27/html/notice-avis-eng.html#na2
- Updated draft assessment – NMP and NEP https://www.canada.ca/en/environment-climate-change/services/evaluating-existing-substances/updated-draft-assessment-nmp-nep.html#toc16
カナダの環境・保健省は、アルミニウム化合物の2物質について、ヒト健康影響が懸念されることから、カナダ環境保護法(CEPA)の有害物質リスト(スケジュール1)に収載することを提案している。
- 背景
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カナダ当局は、アルミニウム化合物として55物質に焦点を当て、ばく露や有害性について検討しており、その結果、2物質についてはリスクがあると判断している。 これら55種類のアルミニウム化合物は、アート・クラフト等の趣味の材料、自動車、建築資材、 インク、トナー、着色料、パーソナルケア製品(化粧品、天然健康食品、非処方医薬品)、塗料・コーティング、害虫駆除製品、プラスチック、 テキスタイル等の様々な製品に含まれている。
- 対象物質
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- 塩化アルミニウム(CAS RN 1327-41-9、aluminum hydroxychloride)
- 塩化アルミニウム5水酸化物(CAS RN 12042-91-0、aluminum chlorohydrate)
固形分離剤および処理補助剤として使用されており、多くの産業用途にも使用されている。また、制汗剤や消臭剤の成分として使用されている。
- 有害性について
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上記2物質は、エアロゾル除菌剤や制汗剤に含まれることから、消費者はこれらの製品の使用時にばく露される可能性がある。これらの物質は、ラットにおける6か月間反復吸入ばく露において、肺や気管支リンパ節の肉芽腫性肺炎が発生することが知られており、無毒性量は0.045mg/m3(ヒト換算値)とされている。一方、エアロゾル除菌剤/制汗剤の使用によるヒトのばく露量は、エアロゾル制汗剤で0.012~0.014mg/m3と推定され、無毒性量とヒトばく露量を比較すると、3倍程度のばく露マージンしかないことから、安全性が担保できないと判断されている。
参考資料
- Canada Gazette, Part I, Volume 158, Number 4: GOVERNMENT NOTICES https://gazette.gc.ca/rp-pr/p1/2024/2024-01-27/html/notice-avis-eng.html#na1
- Aluminium-containing Substances Group – information sheet https://www.canada.ca/en/health-canada/services/chemical-substances/fact-sheets/chemicals-glance/aluminium-containing-substances-group.html
- Draft assessment – Aluminium-containing substances group https://www.canada.ca/en/environment-climate-change/services/evaluating-existing-substances/draft-assessment-aluminium-containing-substances-group.html
欧州
欧州理事会は、歯科用アマルガムの使用を全面的に禁止し、その他の水銀添加製品の製造、輸出入を禁止する規則を採択した。
- 歯科用アマルガム
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現在の規則では、15歳未満の子供、妊娠中または授乳中の女性の歯の治療に歯科用アマルガムを使用することは禁止されている。新しい規則では、2025年1月1日以降、EU域内のすべての人に対して禁止が拡大される。ただし、歯科用アマルガムの使用が患者の医療ニーズに対応するために必要であると見なされた場合は除外される。 歯科用アマルガムは、患者の水銀ばく露ばかりでなく、火葬場において大気中に放出される水銀の汚染も問題にしており、火葬場からの水銀の排出削減技術についてガイダンス等が必要と述べられている。
- その他の水銀製品
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- 一般照明用のその他のコンパクト蛍光ランプ(2025年12月31日)
- 一般照明用の三波長蛍光ランプ(2026年12月31日)
- 一般照明用のハロリン酸塩蛍光ランプ(2025年12月31日)
- 非線形三波長蛍光ランプ(2026年12月31日)
- 非線形ハロリン酸塩蛍光ランプ(2025年12月31日)
- 一般照明用の高圧ナトリウム(蒸気)ランプ(2025年12月31日)
2025年12月31日~2026年12月31日までに、さらに6種類の水銀含有ランプの製造、輸出入が禁止の対象となる。(下記は対象製品、禁⽌⽇)
参考資料
- Council signs off on measures to make the EU mercury-free https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2024/05/30/council-signs-off-on-measures-to-make-the-eu-mercury-free/
- REGULATION OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL amending Regulation (EU) 2017/852 on mercury as regards dental amalgam and other mercury-added products subject to export, import and manufacturing restrictions https://data.consilium.europa.eu/doc/document/PE-53-2024-INIT/en/pdf
欧州委員会は、有害化学物質の「エッセンシャルユース」の基準に関するガイドラインと原則を公表した。
- 背景
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持続可能な化学物質戦略は、化学物質を設計段階から安全で持続可能なものにするための行動を示し、化学物質が将来に渡り有害な影響を与えないよう、安全で持続可能な化学物質への切替えを促進することを目指している。これには、育児用品、食品接触材料、テキスタイルなどの消費者製品において有害化学物質の使用を禁止することが含まれている。
「エッセンシャルユース」の概念とは、有害化学物質が安全に使用でき、社会の機能維持に重要であり、また代替手段がない場合、その物質はある一定期間その目的のために使用することが許されるものである。
化学物質は、消費者製品だけでなく、電子機器、電気自動車用のバッテリーを含む交通機関、建築材料など、社会の維持に必須要素となっている。一方で、有害化学物質にばく露されることは、食品や水の汚染により、重篤な健康影響や長期的な環境影響を引き起こす可能性がある。有害化学物質の段階的な廃止を通じて、ヒトと環境の保護レベルを向上させ、より安全で革新的な解決策への投資を奨励することが重要であるが、持続可能な化学物質戦略の一環として、有害な化学物質であっても、社会にとって不可欠である場合にのみ許可されるとの概念が必要である。
- エッセンシャルユースとは
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- 基準 : 次の2つの基準を満たす場合に、「エッセンシャルユース」と判断される。
- 用途の範囲 : 有害化学物質の使用が社会にとって不可欠であるかどうかを決定するもので、ある物質の使用が、ある状況では必要であるが、別の場合にはそうでない場合もあり、あるセクター内ですべての使用が重要であるとは限らない。
- 有害化学物質とは : 残留性や蓄積性がある物質、がんを引き起こす物質、遺伝子変異を引き起こす物質、生殖器や内分泌系に影響を与える物質、免疫、神経、呼吸器系に影響を与える物質、特定の器官に有毒な物質、また、残留性や移動性のある物質も評価の対象となる。
- 健康や安全に必要/社会の機能にとって重要とは : 健康や安全に必要とされるもの、または社会の機能にとって重要とされるものとして考えられる基準は、社会の機能を維持するために必要なリソースやサービスを提供するものとされ、例えば、エネルギー、交通、医療、デジタル技術などの分野において、社会に安全を提供するためのインフラや設備等が含まれる。
1)健康あるいは安全にとって必要である、あるいは社会機能にとって重要であること
2)条件を満たす代替品がないこと
有害化学物質の使用が、健康や安全に必要であるか、または社会の機能にとって重要である場合、かつ、受け入れ可能な代替手段が存在しない場合に限り、その使用が必須であるとされる。エッセンシャルユースと判断されるには、これら2つの基準を満す必要がある。
参考資料
- Commission defines principles on limiting most harmful chemicals to essential uses https://www.echa.europa.eu/substances-of-very-high-concern-identification#
- Questions and Answers on essential use chemicals https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/qanda_24_2152
- Communication from the Commission – Guiding criteria and principles for the essential use concept in EU legislation dealing with chemicals https://op.europa.eu/en/publication-detail/-/publication/90926c62-0365-11ef-a251-01aa75ed71a1/language-en/format-PDF/source-319809317
欧州化学品庁(ECHA)は、2物質についてREACH規制の高懸念物質リスト(SVHC)に追加する予定である。
- ビス(α,α-ジメチルベンジル)ペルオキシド
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- CAS RN 80-43-3
- 用途:工業用として、ポリマーやゴム等の製造(反応補助剤、重合開始剤、架橋剤等)に用いられるため、木材(床、家具、おもちゃ)、石材、石膏、セメント、ガラス、セラミックス(皿、鍋、食品保存容器、建材)、プラスチック(食品包装、おもちゃ、携帯電話)等の製品に含まれている。
- 生殖毒性が懸念される。(区分1Bに分類される)
- トリフェニルホスフェート
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- CAS RN 115-86-6
- 用途:可塑剤や有機リン系難燃剤として、プラスチック、ゴム製品、接着剤、シーラント等に用いられている。
- 環境生物に対する内分泌かく乱作用が懸念される。in vitro試験において、エストロゲン活性が認められ、魚類の繁殖性に関する研究では、生殖細胞の成熟阻害、受精率の低下等が認められている。
参考資料
- Substances of very high concern identification https://www.echa.europa.eu/substances-of-very-high-concern-identification#
- Annex XV report、Substance Name: Bis(α,α-dimethylbenzyl) peroxide https://www.echa.europa.eu/documents/10162/96a03331-59fa-bcd7-7188-3a813d4d4cf1
- Annex XV report、Substance Name: Triphenyl phosphate (TPhP) https://www.echa.europa.eu/documents/10162/d6e2e15e-41af-b344-90c3-3c8875aa4b31
欧州委員会共同研究センター(JRC:Joint Research Centre, European Commission)は、自動車等のタイヤの摩耗によりマイクロプラスチックが発生し、環境汚染の原因となり得るとする研究報告を発表した。
タイヤの摩耗により発生するタイヤ粒子は、タイヤトレッドと道路表面との摩擦によって生成され、環境に放出されるマイクロプラスチックの重要な発生源となっている。これは全マイクロプラスチックの約1/3~1/2と推定される。これらのタイヤ粒子の大部分は雨水等により土壌や水系に拡散し、少量は大気中に放出される。
欧州では年間に50万トン以上、世界では600万トン以上のタイヤ粒子が排出されていると推定される。排出されるタイヤ粒子の質量分布は通常2峰性で、20〜200μmおよび2〜10μmにピークがある。これらタイヤ粒子は、自動車等から発生する粒子状物質(PM)の5~30%と推定され、環境全体のPM排出の約5%に相当する。
これらの推定値はさまざまな変動要因を含んでいるが、排出量はタイヤ、道路、車両、運転スタイル、および環境などに依存している。摩耗率は、タイヤの重量と走行距離から算出でき、PMは車輪に近い場所でサンプリングすることで測定可能である。乗用車のタイヤ摩耗に関する実車測定(オンロード測定)では、摩耗量は110 mg/km/車両または68 mg/km/tであるとされている。PM10の排出は1.4~2.2 mg/km/タイヤで、粒子数は約1010 #/km/タイヤであった。PM10の比率は約2.5%であり、この内の約40%がPM2.5と推定された(PM2.5/PM10比)。ただし、オンロード測定では、測定に影響する可能性があるバックグラウンド粒子、再浮遊粒子、道路の摩耗、ブレーキ粒子等の問題があること、また、オートバイ、小型商用車、バス、トラックについてはほとんどデータがない等の課題も多い。
タイヤ摩耗への対策については、現状では、タイヤ製造時の油中の多環芳香族炭化水素(PAHs)の制限、およびEuro 7規制によるタイヤ摩耗率の低減が提案されているが、タイヤ粒子による環境影響を軽減するためには、粒子の発生を抑制し、発生した粒子を回収する新たな技術が必要である。
参考資料
- Contribution of Road Vehicle Tyre Wear to Microplastics and Ambient Air Pollution https://publications.jrc.ec.europa.eu/repository/handle/JRC135524#:~:text=Tyre%20abrasion%20(wear)%20contributes%20from,a%20small%20percentage%20becomes%20airborne.
- Euro 7: Council and Parliament strike provisional deal on emissions limits for road vehicles https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2023/12/18/euro-7-council-and-parliament-strike-provisional-deal-on-emissions-limits-for-road-vehicles/
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